「ママチャリの人」炎上を支える幼稚な“正義感” 実行部隊は“40万人に1人”というレアキャラっぷり、糾弾より交通ルールを守る環境づくりが先決だ
自転車ルール違反と認識ギャップ
歩道における自転車の危険運転も大きな問題だ。
警察庁の資料によると、2023年の自転車対歩行者の歩行者死亡・重傷事故件数は358件に上る。そのうち歩道で発生したものが141件と
「約4割」
を占めており、歩行者の安全が脅かされている実態が浮き彫りになった。とりわけ危険なのが、子どもや高齢者といった“交通弱者”だ。スピードを出した自転車に追突されれば、大けがは免れない。
しかし、歩道の危険性は案外認識されていない。自転車利用者のなかには
「歩行者はどいてくれるはず」
とたかをくくる向きもあるようだ。なかには
「道を譲ってもらえるのは当然」
という身勝手な考えの持ち主もいる。自転車は弱い立場にあるのではない。歩行者にとっても脅威となりうることが十分に認識されていないのだ。
なぜルールは守られないのか。その原因のひとつに、
「免許制度の不在」
が挙げられる。自動車やバイクと異なり、自転車は免許がなくても乗ることができる。誰もが簡単に利用できる反面、交通ルールへの理解は二の次になりがちだ。
「左側通行を守らなくても大丈夫」
「ちょっとくらい信号無視しても平気」
そんな意識の低さが、マナー違反を招いているのだ。
実際、警察庁が全国のおよそ5000人を対象にインターネットで行ったアンケートでは、「自転車乗車中に携帯電話を使用してはいけない」という交通ルールを正しく認識している人は90%を超えていた一方で、これを守れていると答えた人は67%にとどまった。
さらに、「乗車中はヘルメットを着用すること」を守れていると答えた人は25%、「歩道を通行するときは、自転車は車道寄りを徐行すること」を守れていると答えた人は49%と、多くの人が交通ルールを知っていても守れていないことが明らかになった。また、一般的な視点から特に守られていないと感じる自転車の交通ルールについては、
「乗車中はヘルメットを着用すること」
が70%と突出して高く、次いで「乗車中に携帯電話を使用しないこと」が46%、
・原則として車道の左側を通行すること
・歩道を通行するときは歩行者の通行を妨げないこと
・歩道を通行するときは、自転車は車道寄りを徐行すること
がいずれも40%前後と、多くの人がルール違反を見かけている実態が浮き彫りになった。