物流危機の本質! トラックドライバー自体は増えているのに、人手不足がさらに“深刻化”するワケ なぜ相反するのか?
トラックドライバー不足が社会問題になっている。しかし、実はトラックドライバーの数自体はここ数年微増傾向にある。では、なぜトラックドライバーが不足しているのか。
輸送トンキロ13%アップで生産性向上
積載効率の低下も、トラックドライバー不足の原因としてよく指摘される。
確かに、積載効率が60%近くあった時期もあった。だがそれは1990年代後半の話であって、ここ10年ほどの積載効率は35~38%の間で横ばいである。さらにいえば、トラック1台あたりの輸送トンキロは、2013年には625.1だったが、2021年には705.07まで増加した。
「約13%」
のアップである。輸送トンキロとは、輸送貨物の重量(トン)に輸送距離(キロ)を乗じた値である。貨物輸送の実態を把握するための指標として用いられる。トラック1台あたりの輸送トンキロが増えているということは、
「より遠くまで、より重たい荷物を運べている」
ということであり、トラック輸送の生産性が向上していることを示す。
労働時間についても取り上げよう。ここ5年でいえば、年間労働時間の平均は、
・大型ドライバー:2500時間強
・中小型ドライバー:2500時間前後
と横ばいである。「積載効率が変わらず」「輸送トンキロが伸びている」しかも「労働時間の長時間化をともなっていない」ということは、少なくとも、トラック輸送の生産性は向上している。
こうなってくると、ますますトラックドライバー不足の原因がわからない。