既存モデルの新車の「バックカメラ」が5月から義務化されます 本当にバック事故対策になるのでしょうか?
2024年5月から、既存車種の新車にバックカメラの標準装備が義務付けられる。安全性を向上させるためとはいえ、なぜこれほどまでに世界的に搭載が推進されているのだろうか。
バックカメラの“死角”

バックカメラが後退事故対策に有効なのは事実だ。しかし、バックカメラにも“死角”は存在する。
2022年に日本自動車連盟(JAF)が行った「バックカメラの見える範囲」に関する実験では、バックカメラは車体の
・真後ろに置かれたもの
・真後ろや遠くのもの
を見ることができた。三輪車や子どものような背の低い物体は目視や各ミラーでは確認できないため、バックカメラは事故防止に有効である。しかし、車体付近には死角が発生した。当然、カメラがカバーしていない車体側面も死角となる。
また、広範囲をカバーする魚眼レンズのため、動いているものが見えにくい。画面の端で小さく見える自転車などが急に大きくなり、通り過ぎるとまた急に小さくなるからだ。また、夜間や西日の強い時間帯は視認性が低下し、カメラに付着した水滴や汚れによっても視界が悪化する。後退事故防止に有効なバックカメラだが、必ずしも万能ではない。
もうひとつの問題は「コスト」だ。これまでメーカーオプション(工場で自動車を製造する段階で追加されるオプション)で装備されていたものが標準装備化されれば、当然そのコストは新車価格に跳ね返ってくる。
もうひとつの問題は「車検」だ。2021年11月から国産新型車に義務付けられた自動ブレーキは、2024年10月以降は車検に含まれることになる。バックカメラも今後車検に含まれる可能性がある。そうなると、バックカメラに欠陥があると車検に通らず、修理や交換の費用が高額になる可能性がある。