既存モデルの新車の「バックカメラ」が5月から義務化されます 本当にバック事故対策になるのでしょうか?

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2024年5月から、既存車種の新車にバックカメラの標準装備が義務付けられる。安全性を向上させるためとはいえ、なぜこれほどまでに世界的に搭載が推進されているのだろうか。

標準装備が進むワケ

当事者別死亡重傷者数(画像:交通事故総合分析センター)
当事者別死亡重傷者数(画像:交通事故総合分析センター)

 バックカメラの標準装備化が進んでいる理由は、ずばり人命に関わるからだ。2014年の米道路交通安全局(NHTSA)の報告によると、後退時の事故による死亡者数は年平均210人、負傷者数は1万5000人。死亡事故の31%を5歳未満の子どもが占め、70歳以上の大人は26%を占めている。

 日本ではどうか。交通事故総合分析センターが2019年1月に発表した「交通事故分析レポート」によると、2007(平成19)年から2017年までの10年間の後退事故による死亡重症者数は1万1598人で、弱者(二輪車乗員、自転車等乗員、歩行者)77%のうち57%が歩行者だった。被害者の年齢については、幼児よりも高齢者の方が多く、日本の後退事故の実態が浮き彫りになっている。

 後退事故の主な原因は、不注意や死角による安全確認不足である。バックカメラを使用することで、見えない死角も含めて後方の状況を確認することができ、後退時の事故防止に効果的である。

 交通事故総合分析センターのリポートでは、

「平成23年以降は継続して装着率が上昇し続けており、近年の後退事故件数の低減にはこの効果が寄与していると考えられます」

としている。バックカメラ設置義務化に“死角”はなさそうだが、問題はないのだろうか。

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