大都市の公共交通「1日無料デー」が新たな経済効果を生む! 北九州市ではなんと3.5億円、課題も含めて考える
北九州市は3月末、「地域公共交通市内1日無料デー」の実施結果を発表した。市内五つの公共交通機関の運賃が、市民以外も含めて無料になった同イベント。利用者数は前年比2倍の58万3000人となった。
経済波及効果は費用の20倍
さらに、移動が自家用車から公共交通にシフトしたことで、交通渋滞にも変化が見られた。
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利用者増にともない、一部の長距離路線では20分以上の遅延が発生したものの、中心部周辺の道路では渋滞が緩和する効果も見られた。警察の常時観測データによると、時速20km/h以下の渋滞区間の総延長は、前後の週末が17.9km、27.1kmだったのに対し、当日は15.1kmにとどまっている。
そして、経済波及効果は4億9600万円と試算されている。費用2500万円の
「約20倍」
の経済効果が確認されたのである。これを論文では
「運賃無料化のような公共交通機関の持つポテンシャルを引き出す施策を打つことで,商業施設・中心街の活性,道路の効率的利用,中心街にとどまらない観光地の活性など,さまざまな好循環が起きることが実証された」
と総括している。
この熊本市での成功が、その後の各地で実施されている交通無料化社会実験のきっかけになったことは間違いない。熊本市ではその後も毎年無料の日を実施。2023年は熊本市内で路線バスがあまり走っていない地域や、宇土、合志、益城、山都の2市2町のコミュニティー交通にも実施エリアを広げた。
同様に、岡山県岡山市や高知県高知市でも運賃無料の日を設ける社会実験を実施。北海道札幌市でも路面電車に限り運賃無料の日が実施された。また、滋賀県の近江鉄道は事業者単体で、無料の日を実施している。これらの施策では、いずれも通常より利用者が増加し、好評のうちに終わっている。