大都市の公共交通「1日無料デー」が新たな経済効果を生む! 北九州市ではなんと3.5億円、課題も含めて考える
交通とまちに多面的効果
その分析結果をまとめた、今釜卓哉・太田恒平・大屋誠・溝上章志「「熊本県内バス・電車無料の日」が交通とまちに与えた多面的効果」(『土木学会論文集D3(土木計画学)』77巻1号)をもとに、無料の日の効果を見ていこう。
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無料の日の実施によって、まず
「バス・電車の利用は2.5倍、地方路線も全て増加、中心部周辺道路網での交通混雑緩和、中心市街地への来訪は1.5倍」
と利用者は大幅な伸びを見せた。また、天草や阿蘇など周辺観光地への来訪者も増加する効果も見られた。利用者数は前週と比べてバスが2.9倍の17.9万人、電車が1.9倍の6.9万人であった。
利用者アンケートでは、36%が普段は公共交通を使わない層だったが、そのうち85%が「運賃が無料だから」利用したと回答している。これを踏まえて論文では
「今回の公共交通の利用経験によって公共交通を利用し続ける人の割合はかなり高いと考えられる」
という見解を示している。
利用者増によって、中心市街地への回遊も活発化する効果が見られた。主要商店街の歩行者通行量は前週比1.54倍の9.3万人を数えた。位置情報ビッグデータの分析でも、SAKURA MACHI Kumamoto周辺の主要エリアで最大2.1倍の入り込み増が確認された。
また、データからは広範囲から人が訪れていることがわかっている。居住地別の来訪状況を見ると、熊本市北区から15倍、東区から12倍、郊外の玉名市から30倍の来訪者増があった。さらに、SAKURA MACHI Kumamotoと長距離バス路線で結ばれた天草・阿蘇・菊池・三角・南関・山鹿・久留米(県外)などとの移動も活発化し、広い範囲で熊本市への来訪が見られたこともわかる。