イラストレーター「わたせせいぞう」が描いてきた昭和~令和という時代、対象はクルマから鉄道へ その魅力とは【連載】移動と文化の交差点(4)
バブル期に一世を風靡したイラストレーター・わたせせいぞう。その魅力をモビリティを通して振り返る。
JR東日本とわたせせいぞう
筆者(増淵敏之、文化地理学者)は先日、上野駅で「大人の休日倶楽部」のポスターを見かけた。「大人の休日倶楽部」とは、50歳からの旅と暮らしをサポートするJR東日本の旅行会員組織(有料)である。
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ポスターはイラストレーター・わたせせいぞうの作品だ。ポスターのサブタイトルは
「50歳から旅するシーズン」
で、ホームに立つふたりの女性を、北陸新幹線と東北新幹線の車両が挟んでいる。車体はわたせの得意とするグラデーションで描かれている。早速ウェブサイトを見ると、わたせが日本各地の観光地を描いた漫画やイラストが満載だ。筆者は懐かしさから、
・『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル スプリングストリーズ』
・『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル ウインターストリーズ』
・『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル オータムストリーズ』
・『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル サマーストリーズ』
の4冊を思わず購入した。
『ハートカクテル』はバブル期に一世を風靡(ふうび)した作品である。当時若かった人にはよく記憶に残っているのではないだろうか。