「もう我慢の限界」 春の京都“観光公害”で地元民うんざり、迷惑行為に「ここはテーマパークじゃない」の声 もはや規制手段しかないのか

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春の観光シーズン、京都市内は訪日外国人観光客であふれかえり、大渋滞が発生している。これまでの対策も十分とはいえず、市民は我慢の限界に達している。

観光地結ぶ特急バスは6月始動

タクシーが渋滞に巻き込まれた五条坂(画像:高田泰)
タクシーが渋滞に巻き込まれた五条坂(画像:高田泰)

 市は混雑緩和に向け、バス1日券を廃止して地下鉄・バス1日券での地下鉄利用を推奨する一方、春の混雑対策として

・市バスと地下鉄の臨時増便
・臨時手荷物預かり所の開設
・京都駅一極集中を回避するための混雑情報発信

など多くの対策を進めている。だが、十分な効果を上げているようには見えない。

 6月からはダイヤ改正に合わせ、土休日に一般バスと別運賃の観光特急バスを運行する。最も混雑がひどい東山方面2ルートで観光客を搬送、市民のバスに乗れない悩みを解消するのが狙いだ。料金は一般バス運賃の約2.2倍となる大人500円。市民利用とのすみ分けを図るため、地下鉄・バス1日券は使えるが、定期券や敬老乗車券は利用できない。

 さらに、観光利用が多い金閣寺や上京区の北野天満宮などへ向かう4ルートに路線を新設するほか、市内循環系統に1日8~21.5便という大幅な増便を予定している。市交通局は

「すぐにでも実施したいが、運転士の確保など準備が必要で、6月スタートとなった。これで混雑が緩和してくれれば」

と期待する。

 迷惑行為に対しては、祇園の花見小路周辺に市観光協会から交通整理の警備員が配置されているが、市も地元協議会と協議して警備員を出す方針。マナー啓発のチラシも作製しており、併せて活用してもらうことにしている。

 市観光MICE推進室は

「特に花見小路周辺は市民の生活の場で、観光客向けの施設がある場所でない。市民の声を真摯(しんし)に受け止め、対応したい」

と話した。

 松井孝治市長は3月末の記者会見で部局を横断して観光課題の解決に当たる新組織設置の考えを明らかにした。しかし、観光公害は小手先の対応ではどうしようもない状態に達している。

「観光客数に上限を設ける」

など抜本的な対策を検討する時期に来ているのかもしれない。

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