武蔵小金井駅の「武蔵」とは何か? なぜ「武蔵」が付いたのか、全部で21駅「武蔵駅名」の謎に迫る

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関東地方には「武蔵」の名を冠した駅が合計21もある。東京が最も多く11駅、次いで埼玉と神奈川が5駅ずつだ。なぜこんなに多いのか。

21駅の謎

武蔵小金井駅の駅名標(画像:写真AC)
武蔵小金井駅の駅名標(画像:写真AC)

 武蔵小杉、武蔵浦和、武蔵小金井――。なぜ「武蔵」の名がつく駅は21もあるのか。2023年、筆者(昼間たかし、ルポライター)は、駅がある各地域の図書館などを訪ね、駅名決定の経緯に関する史料を探した。そして、本媒体に「「武蔵小杉」「武蔵浦和」「武蔵小金井」 なぜ“武蔵”のつく駅名は21個もあるのか?」(2023年12月3日配信)という記事を書いた。

 調査の結果、武蔵の名がつく21駅のうち、明確に駅名の決定に関する資料が残っているのは

・武蔵砂川駅(東京都立川市)
・武蔵浦和駅(埼玉県さいたま市)

の2駅のみ。そのほか、

・武蔵小山駅(品川区)
・武蔵小金井駅(小金井市)

は関連する若干の資料が見つかった程度だった。ほとんどの駅で、駅名の由来を示す資料はなかった。旧国名である「武蔵」を冠した理由について、駅名の重複を避けるために「武蔵」が使われたとする説明する文献もあったものの、駅名が決定した同時代にそれに言及している資料は、ひとつもなかった。

 駅名の由来は地域の人々にとって大きな関心事だったはずだが、なぜ資料が残っていないのか。その理由は、明治・大正時代には駅名の決定権は鉄道事業者にあり(鉄道省や鉄道会社)、地域には決定権がなかったためだと考えられる。ただ、当時の資料でもそれを明言した資料はない。あくまで資料から類推できる程度だ。

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