国産ミサイルは本当に使い物になるのか? 防衛省・新導入の艦対空誘導弾「A-SAM」によぎる一抹の不安
話題の艦対空誘導弾は使い物になるのだろうか。筆者は厳しいと考える。その理由について解説する。
信管動作の問題
第2が信管動作の問題である。
海軍用ミサイルには超低空でも確実動作する信管が必要となる。高度1mの対艦ミサイルも捕捉しなければならない。
それには高度な信管も必要となる。目標距離と海面距離を区別できる機材である。
例えば2経路式信管の採用である。接近距離の測定で使用するレーザーや電波の受波器をふたつとする。その上で、それぞれに戻るレーザーや電波の経路長差を利用する機材である
従来型では都合が悪い。特に単純な「5m以内に何かが近づくと動作」では役に立たない。目標よりも先に海面が5m以内に近づくのである。
しかし、A-SAMにはその種の高度信管を付けた話はない。そもそも防衛省自衛隊が超低空向けの信管を開発した話もない。
これも実用性を疑う理由である。仮に高度1mの目標を捕捉追尾できたとしよう。それでも陸上信管のままでは動作不良から迎撃はできない。