「私は荷物のように扱われた」 ある“車いすユーザー”が航空会社を訴えたワケ 米国の実態は日本より数段ひどかった?

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車いす利用者は、安全かつ尊厳を持って飛行機に乗ることができるべきである。米国運輸省はそのような規制案を発表した。当然のことではないのか。米国における車いす利用者の空の旅の現状を調査した。

米国の車いす利用者の受難

サウスウエスト航空のウェブサイト(画像:サウスウエスト航空)
サウスウエスト航空のウェブサイト(画像:サウスウエスト航空)

 ホワイトハウスでの米運輸省からの提言発表の場で、運輸長官ピート・ブティジェッジ氏は、次のような引用をしていた。

「They were made to feel like a piece of luggage and so decided no longer fly(彼ら〈車いす利用者〉は、まるで自分が荷物であるかのような扱いをされていると感じ、もう二度と空の旅はしないと決めた)」

 車いす利用者を荷物のように扱う……そんなことがあるのだろうか。米国の航空会社による車いすの扱いについて調べてみたところ、車いす利用者が航空会社を相手取って訴訟を起こした例が数多くあった。

 2019年にサウスウエスト航空に対して起こされた訴えでは、原告の車いす利用者が搭乗時に適切なサポートがされず、乗り降りに困難を感じたという。この訴訟では、サウスウエスト側が和解に応じて原告に賠償金を支払い、スタッフトレーニングの強化やサービスの改善を約束するに至っている。

 この件は、障がい者の権利に関する問題について、航空会社の責任にスポットをあて、業界全体に影響を与えることとなった。

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