なぜ最近の日本車は“冒険”しなくなったのか? 街には「SUV」「軽ワゴン」ばかりの現実、無個性こそ個性の時代なのか
近年、新車のデザインに個性や多様性がないという声をよく耳にする。特にクロスオーバーSUVや箱型の軽ワゴンにその傾向が強い。この背景には何があるのだろうか。
ジュークの衝撃

2010(平成22)年6月、日産はBセグメント(サブコンパクト)サイズの4ドアハッチバック・クロスオーバーSUV「ジューク」というユニークなモデルを発表した。
当初、ジュークはある種の“キワモノ”で、そのユニークなスタイルばかりが人々の注目を集めた。しかし、振り返ってみれば、ジュークのスタイルは、今日まで続くクロスオーバーSUVの基本形にほかならなかった。
発売から数か月後、ジュークは予想外に高い評価を受けるようになった。サブコンパクトカーならではの
・価格の安さ
・維持費の安さ
・外観とは異なる使い勝手のよさ
などが評価され、世界市場で人気が出始めたのだ。
人気の高まりは、おのずと他メーカーからも同様のモデルが続々と登場するきっかけとなった。このとき、日産がクロスオーバーSUVで成功したことは、既存モデルの販売不振に悩み、売れる新型車を探していたメーカーにとって、“渡りに船”となった。
そして、欧州市場におけるBセグメント・クロスオーバーSUVの販売台数は、2010年の約13万台から2016年には113万台へと、10倍近い大躍進を遂げることになる。安価なクロスオーバーSUVは売れる――。それが市場で実証されたことは、他のセグメントにも波及していった。
Bセグメントの上位に立つCセグメント(コンパクト)では、すでに一定の販売実績を残していたトヨタRAV4やホンダCR-Vが人気デザインとともにフルモデルチェンジした。