なぜ最近の日本車は“冒険”しなくなったのか? 街には「SUV」「軽ワゴン」ばかりの現実、無個性こそ個性の時代なのか

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近年、新車のデザインに個性や多様性がないという声をよく耳にする。特にクロスオーバーSUVや箱型の軽ワゴンにその傾向が強い。この背景には何があるのだろうか。

自動車市場の閉塞感

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 1990年代から2000年代初頭にかけては、セダン、ハッチバック、クーペ、ステーションワゴン、コンバーティブルがほとんどのメーカーのラインアップを飾り、あらゆるセグメントをカバーする勢いがあった。

 それがなぜ現在のような状況になったのか。一般的に、市販車のラインアップはユーザーの嗜好やトレンドに左右される。しかし、この場合、ユーザーの嗜好の変化だけでは済まされない複雑な事情がある。

 1990年代のいわゆるバブル経済期には、自動車市場には巨費を投じて開発された個性あふれるモデルがひしめいていた。日本車にとっては、まさに“わが世の春”だった。

 しかし、バブル景気は長くは続かず、数年で終焉(しゅうえん)を迎えた。残ったのは、業界全体を覆う閉塞(へいそく)感だった。今後の日本経済はどうなるのか――。自動車メーカーは生き残りをかけた経営改善を迫られることとなった。

 クルマ購入者の嗜好が大きく変わったわけではなかった。しかし、開発者の士気は徐々に低下していった。つまり、突然訪れた経済の停滞を警戒し、一種の“慎重さ”が芽生えたのである。

「こんなクルマを出していいのだろうか」
「本当に売れるのだろうか」
「確実に売れる無難なモデルだけに集中すべきだ」

このような守りの心理は、あるとき突然現れたものではなく、バブル崩壊から10年、15年と経過するなかで、静かに、しかし確実に自動車メーカー全体に浸透していった。

 その結果、バブル期に投入されたモデルは、数年のうちに後継車もなく製品寿命を終えて市場から姿を消した。2000年代初めから半ばにかけてのことだ。

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