EVを拒絶する人たちが知らない「充電スタンド」の経済的効果! 持続可能な都市に向けて皆で頑張ろう
利便性向上への挑戦

時代はハイブリッド車回帰である。しかし、その“山”を越えた向こうにあるのは、電気自動車(EV)である。いうまでもない。そこで急がれるのが、EVを気軽に充電できる環境の整備だ。「充電切れ」の不安を解消し、EVでのドライブを快適にするためには、身近な場所に充電できる設備が欠かせない。
しかし、充電スタンドの数はまだまだ十分とはいえない。車両価格、車両重量、航続距離などと同様に、EVシフトにかたくなに反対する人たちも、この課題について指摘することでカタルシス(ため込んだ感情の解放)を得ている。そこで本稿では、充電スタンドの増加策をさまざまな角度から検討する。地球のために、日本のために。
周知の事実だが、現状の充電スタンドは、十分にとはいい難い。和歌山大学の谷口祐太氏の論文「山村地域におけるモビリティエネルギーの孤立実態調査」では、
「全国的な充電スタンドの設置状況に着目すると、30分程度で160km走行可能な充電量を確保する急速充電器は、道の駅やカーディーラー、大型ショッピングセンターなど限られた施設に設置されているのみである」(『和歌山大学Kii-Plusジャーナル』2021)
としている。
充電スタンドの設置が増加していた当初から、利用者の利便性を考慮した設置場所の選定や運用体制の整備は重要な課題となってきた。2013(平成25)年頃にはすでに次のような課題が提示されている。
「現状(注:論文は2013年発表)の利用実態での課題として、現在、多くの急速充電スタンドは、役所や公共施設、自動車ディーラにあるため、土日、祝日、年末年始には急速充電スタンドの大半が使えなくなることが挙げられる。また、公共施設は平日でも午後6時以降には使えなくなる。また、自動車ディーラは東京地区では火曜日が一斉休日であり、EVにとっては“魔の火曜日”である(一部では、セルフサービスで対応)。また、設置希望場所の上位に、コンビニエンスストアがあるが、充電中の時間の過ごし方に困るなどの意見を聞く。今後の充電スタンドのビジネスモデル、サービス体制作りでは、利用者に対して、きめ細かな配慮が必要になりそうだ」(池谷知彦「EV本格普及に向けた充電インフラ構築の動きと課題」『電気学会誌』133巻1号)