「素人ドライバーが人命を運ぶ」 ライドシェア4月限定解禁も、まだまだ“危険性”を主張しなければならないワケ

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テレビや新聞、ウェブニュースでは、ライドシェア全面解禁のポジティブな側面ばかりが強調されている。しかし、これらの報道から抜け落ちている重大な視点がある。最大の問題は安全性である。

万博疑念とライドシェア

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 2023年12月1日には、2025年大阪・関西万博期間中にライドシェア導入を目指し、大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会共同代表)とライドシェアの超党派勉強会の世話人を務める自民党・小泉進次郎元環境相が会談。吉村氏が

「移動の足を確保する責任を果たしたい」

といい、小泉氏は

「(万博で)空飛ぶクルマをやるのにライドシェアがないという、そんな滑稽なことはないので、しっかり頭に入れておきたい」

と応じている。

 しかし、パビリオン建設は大幅に遅れ、前売り入場券は販売開始から3か月が経過しても、前売り目標1400万枚のうち

「4.6%(計64万枚)」

の売り上げにしか至らない惨状だ。「350億円のリング」「2億円トイレ」など、万博への批判は相次ぎ、開催自体が疑問視されるなか、“捕らぬたぬきの皮算用”でライドシェア導入を進めるのは筋違いではないか。

 ちなみに、全国のなかでもいち早くライドシェアの導入を進めようとしたのが、黒岩祐治神奈川県知事だ。2023年10月20日に開かれた会合のなかで黒岩知事は

「タクシー業界と一緒に神奈川版ライドシェアを作っていければ、新たなモデルになるのではないか」

と発言。翌日には三浦のタクシー会社に小泉進次郎氏が声をかけ、その翌日には県庁の担当者が来るという“珍事”もあったと聞く。

 誰が何のためにライドシェアを導入したいのか。この、

「打ち合わせ済み」

のような見事な連携プレー、用意周到な流れからも、その背景が透けて見える気がしてならない。

 そもそもライドシェアが海外で一時広まった背景には、現地のタクシーの安全性や接客・ぼったくりへの不満・不信などがあった。世界のタクシーは

「ほぼ個人営業が主流」

で、管理体制が整っていないためだが、それでもライドシェア解禁後には問題が多数発生、すぐに禁止・規制に至っている。

 にもかかわらず、タクシーの安全管理や料金の信頼性、接客において高い水準にある日本でライドシェアを解禁したら、これまでの高品質なタクシーは維持できなくなる。

 今、タクシー不足解消のために最優先すべきは、ライドシェアではなく、ハイヤー・タクシー乗務員の担い手の確保だ。そして、そのためには賃金向上や短時間勤務の導入、若者・女性にとって働きやすい労働環境の整備などを進めるのが先ではないだろうか。

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