「素人ドライバーが人命を運ぶ」 ライドシェア4月限定解禁も、まだまだ“危険性”を主張しなければならないワケ

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テレビや新聞、ウェブニュースでは、ライドシェア全面解禁のポジティブな側面ばかりが強調されている。しかし、これらの報道から抜け落ちている重大な視点がある。最大の問題は安全性である。

デジタル相の「誤解」

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 例えば、2023年8月27日には河野デジタル相がフジテレビのニュースで橋下徹氏と対談し、橋下氏が

「先進国でライドシェアをやっていないのは日本だけ」

と発言したが、これは大きな誤りだ。

 なぜなら、欧州全域と韓国、台湾はグレーゾーンでライドシェアを営業開始したものの、その直後に多くの問題が生じた、政府や司法機関が禁止しているからだ。

 しかも、これらの地域でウーバーなどを使って実際に来る車両は、ハイヤーかタクシーの認可を受けた事業者で、素人ドライバーへの全面解禁を進めようとしている日本とは大きく事情が異なる。

にもかかわらず、河野氏は橋本氏の発言を受け、

「例えばタクシー呼んでから何分で来る割合が何パーセントとか、駅の待ち時間を何分以内にするなどの水準を作り、出来ないなら自動的にライドシェアを入れるというようなルールを決めればよい」

と積極的に導入を推奨している。まさかデジタル相が世界の動向を正しく把握しないとは思えないが。

 さらに、米国では強盗や性犯罪でライドシェアのドライバーが加害者にも被害者にもなるケースが増えているという。衆議院国土交通委員会(2023年3月22日)の政府答弁で示されたデータを次に引用したい(「日本のタクシーとアメリカのライドシェアの比較(2020年)」より)。

●米国のライドシェア(ウーバー)
・輸送回数:約6.5億回
・交通事故の死者数:42人
・身体的暴行による死者数:11人
・性的暴行の件数:998件

●日本のタクシー
・輸送回数:約5.6億回
・交通事故の死者数:16人
・身体的暴行による死者数:0人
・性的暴行の件数:19件

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