「素人ドライバーが人命を運ぶ」 ライドシェア4月限定解禁も、まだまだ“危険性”を主張しなければならないワケ
解禁リスクと現実
一般ドライバーが自家用車を使用し、有料で顧客を運ぶ「ライドシェア」が、2024年4月に条件付きでスタートする。タクシー会社が運行し、車両不足が深刻な地域や時間帯に限っての限定解禁だ。さらに政府はアプリ事業者らの新規参入など、そのほかの取り組みも含めて全面解禁に向けて議論を進め、6月までに結論を出すとしている。
テレビや新聞、ウェブニュースなどの各メディアでは、
「タクシー不足」
とライドシェア全面解禁に向けたポジティブな面ばかりをこれまで盛んに強調してきた。
「海外ではすでにライドシェアの普及が進んでいる」
「4月限定解禁に向け希望者が殺到」
「国交省がタクシーに配慮している」
「ライドシェア解禁で業績が上がりそうな企業」
「ライドシェアのメリットと種類」
といった記事が乱立し、いずれもビジネス的側面からの効果を中心に構成されている。
そうした報道の影響から、
「早くライドシェアを解禁すべき」
「海外では当たり前になっているライドシェアが進まないのは、タクシー業界が既得権益を守りたいから」
といった世論も形成されつつある。しかし、そうした報道に欠けている重大な視点がある。最大の問題点は、安全面だ。
ライドシェアは、ウーバーなどのアプリに登録すれば、誰でも行うことができるもの。4月解禁の段階ではタクシー会社の運行に限定されているが、もし6月に全面解禁となれば、タクシードライバーに必要とされる高い運転技術を要する「2種免許」が不要になり、地理試験や研修を受けていない
「素人ドライバーが人命を運送する」
ことになる。また、労働時間の管理も受けないので、アルコールチェックや体調確認をすることなく、過労や睡眠不足でもチェックできない。
さらに、アプリの登録を誰かが代表してやっておけば、オーダーが来たとき、誰が対応するかはわからないため、
・家族や仲間内で免許を持たない人
・飲酒中の人
・体調不良や睡眠不足の人
が対応するなんてことも可能になってしまう。