「乗り換え不便」 北陸新幹線・敦賀延伸 収益確保が生んだ皮肉な帰結、それなら敦賀駅をテーマパーク化してはどうか?
JR3社の協業必須

今後長い期間を要する北陸新幹線の新大阪開業まで、北陸地方では、生徒・学生の進学先や就職先、地域住民の旅行先、さら地場企業が他地域への進出先を選択するなどの際に、関東を選ぶ動きが強まる可能性がある。福井市在住の50代男性と40代女性の夫妻はともに
「東京に直結する新幹線が福井に来たことはよいことだと思うが、大阪や名古屋へは乗り換えとなり不便になった」
と口をそろえる。
評論家の八幡和郎氏は「新幹線の採算を確保するために、在来線特急が短縮され、乗り換えをさせられるようになった」と批判し、
「例えば、JR東海が名古屋~金沢間の在来線特急を運行するようになれば、乗り換えをしなくて済む。欧州では鉄道はオープンアクセスで、ひとつの線路に複数の事業者が列車を運行している。消費者の利便性を優先する鉄道政策が必要だ」
と提言する。
東京駅~福井駅間を移動する場合、新幹線敦賀開業前は、北陸新幹線・東海道新幹線ともに乗り換えが必要で、運賃+料金合計額・所要時間ともに東海道新幹線が優位であったが、新幹線敦賀開業後は、所要時間の短さと乗り換え不要の点で北陸新幹線優位に逆転した。
敦賀を越える特急が復活すれば、行きはJR東日本・JR西日本の北陸新幹線、帰りは在来線特急+JR東海の東海道新幹線と使い分ける列車旅を再び提案しやすくなる。帰りに長浜で途中下車して黒壁の街並みや琵琶湖などを楽しむのも一興だ。
本来「ワンJR」であれば、JR同士の競争を気にする必要はない。八幡氏の提言を敷衍(ふえん)して、例えば、JR西日本が、ハピラインふくいやIRいしかわ鉄道に特急運行を有償委託できると、両社への支援にもなる。大企業による地域鉄道支援はSDGsの考え方にもかなう。
並行在来線で特急運行を行うと問題が生ずるようなら、制度を改めることで対処し、新幹線と在来線特急が互いの魅力を競い合えばよい。「Japanese Beauty Hokurikuキャンペーン」で協働してきた東日本・東海・西日本のJR3社は今後も力を合わせて、他の交通機関に負けないよう、鉄道アクセスの魅力を磨き上げる努力が要る。