「乗り換え不便」 北陸新幹線・敦賀延伸 収益確保が生んだ皮肉な帰結、それなら敦賀駅をテーマパーク化してはどうか?

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2024年3月16日、北陸新幹線金沢~敦賀間125.1kmが開業した。当日の様子と今後の課題について考察する。

敦賀駅の乗り換え課題

敦賀駅新幹線改札から在来線特急のりばへのルートを示す床面の標識。2024年3月17日撮影(画像:大塚良治)
敦賀駅新幹線改札から在来線特急のりばへのルートを示す床面の標識。2024年3月17日撮影(画像:大塚良治)

 いずれにしても、新幹線の利用促進と開業効果の持続性を担保するための方策、および地域輸送ネットワークの維持方策を考える必要がある。そして、JR貨物の線路使用料の財源を広く利用者全体の負担により調達する仕組みを創設することで、

・並行在来線三セクの維持
・JR旅客会社が負担するJR貨物の線路使用料の事実上の優遇の解消
・JR貨物の経営維持

につなげたい。

 課題はほかにもある。敦賀駅での乗り換えである。乗り換え利便性確保のため、3階の新幹線高架ホーム下の地上1階部分に在来線特急ホームを設置することで上下移動で乗り換えできる構造に変更された(JRTT『北陸新幹線(金沢・敦賀間)事業に関する再評価報告書』2018年3月)。

 筆者は開業日の翌日に北陸新幹線から大阪行き特急へ乗り継いだが、5分程度で完了した。それでも、西九州新幹線武雄温泉での新幹線と在来線列車の同一ホーム対面乗り換えと比べると、利便性の差は否めない。

 現状では、広大な駅構内を移動するだけでは、ただ不便を感じるだけであろう。消費者は目の前に示された利便性やコストパフォーマンスでサービスを選択する。他の交通機関への流出や、敦賀を経由する旅行の取りやめなどの影響が出る懸念もある。

 試しに、平日の19時50分頃に乗り換え検索サイトで「福井→名古屋」を検索したところ、高速バスを利用するルートが第1候補に表示された。所要時間は北陸新幹線・北陸本線特急利用の約2倍を要するが、乗り換えが不要な点および運賃が安価である点に限れば高速バスに優位性がある。

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