国際線に乗ると、荷物の「出てくる時間」が毎回違うワケ 航空会社の社員が解説する
荷物の待遇を左右するもの

冒頭で書いたように、荷物を預けた時間である。なぜ預けた時間が関係するかというと、出発空港で荷物が飛行機に積み込まれるまでの流れがわかりやすいので説明したい。
出発空港で搭乗手続きを済ませた荷物は、ベルトコンベヤーに乗せられ、検査を受けた後、飛行機の荷物の仕分け場に到着する。
そして、飛行機に積み込まれる際、通常はコンテナに入れられ、飛行機の貨物室に積み込まれる。積み込みは主に手作業で行われ、仕分け場に到着した荷物から順番にコンテナに入れていく。こうして、満杯になったコンテナから先に飛行機まで運ばれ、飛行機の貨物室に積み込まれる。
それに加えて、飛行機の貨物室のドアは大型機でもふたつしかないので、先に到着したコンテナは物理的に飛行機の後方に詰められ、積み込まれる。
だから皮肉なことに、時間厳守で空港に早く到着して荷物を預ける人は、貨物室の一番後ろにあるコンテナに先に荷物が積み込まれることになる。プライオリティの荷物が入ったコンテナは、到着時に最初に降ろしたいコンテナであり、飛行機の貨物ドア前に最後に積み込まれる。
このため、搭乗手続きの締め切り時間前に到着した乗客の荷物ほど貨物室のドアに近いコンテナに置かれ、時間がない場合はプライオリティと同じコンテナに入れられることもある(返却はもちろんエコノミークラス時に行われる)。
さらに、出発時間が迫っている場合、貨物室のドアがすでに閉まっていることもあるので、バルクと呼ばれる予備の貨物室のようなところに入れられる可能性が高い。バルクは通常、車いすやベビーカーなど、飛行機に乗る直前まで使用し、到着後すぐに使用する荷物に用いられる。そのため、ドアは出発直前まで開けておく。
こうすることで、到着空港でエコノミークラスのなかでは1番最初に飛行機から降ろしてくれるわけだ。つまり、搭乗手続きの締め切り時間にチェックインしたにもかかわらず、到着空港では1番最初に荷物が出てきた――ということが起こりうる。
このため、搭乗手続き時に荷物を預けた時間や状況によって、特にエコノミークラスでは荷物が出てくる時間がバラバラになるのである。