国際線に乗ると、荷物の「出てくる時間」が毎回違うワケ 航空会社の社員が解説する

キーワード :
,
預けた荷物が到着空港で出てくるたびに時差がある。なぜか。現役の航空会社社員が解説する。

クルーの荷物意外な優先

コンテナに積み込まれる荷物(画像:JAL)
コンテナに積み込まれる荷物(画像:JAL)

 例外はあるが、筆者の経験上、荷物はこのような順番で飛行機から降ろされる。

1.プライオリティ(優先客)
2.乗り継ぎ
3.クルー(パイロットや客室乗務員)
4.エコノミークラス

 1番目はやはりVIP、ファーストクラス、ビジネスクラス、航空会社のプライオリティステータスを持つ人の荷物だ。これは誰もが予想できるだろう。航空会社や空港にもよるが、飛行機が駐機場に到着してから10分ほどで、プライオリティの最初の荷物を返却しなければならない航空会社さえある。

 第2優先と第3優先は会社によって入れ替わるが、第2優先は次の飛行機の出発時刻が迫っているため、乗り継ぎのある荷物を下ろすことになる。早く飛行機から降ろさないと、次の出発便に積み込めない。荷物のために出発時間を遅らせる航空会社はなく、荷物を積み込むことなく出発する。余談だが、国際線の乗り継ぎ時間が短い場合、この理由で荷物が一緒に到着しないケースがほとんどだ。

 そして意外かもしれないが、エコノミークラスよりもクルーの荷物が3番目に優先される。その理由は、クルーが勤務時間を確保し、次の仕事がある場合はできるだけ早く荷物を出して仕事を終わらせ、インターバルと呼ばれる業務に該当しない時間を確保するためである。こうして、エコノミークラスの荷物は最後に下ろされる。

 機内に300個の荷物があったとすると、約260個がエコノミークラスの荷物だ。そのため、1番目に出てくる荷物と260番目に出てくる荷物があることになる。それについては、次項で説明したい。

全てのコメントを見る