なぜ高齢者は運転免許証の「自主返納」をためらうのか? 交通問題の深掘りで見えてきた痛ましい現実とは
近年、交通事故のなかでも特に高齢者の自動車事故が注目されている。運転免許証の自主返納を促す動きもあるが、これで本当に問題は解決するのだろうか。
新ビジネスの広がり
また、賃金や労働時間、免許取得のハードルの高さも担い手不足の大きな理由だろう。若い運転手を確保するため、地元のバス会社は転居費用や大型二種免許取得費用の負担などさまざまな努力をしているが、まだ始まったばかりだ。
そこで注目されるのが、地域MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス。自動車、自転車、公共交通機関、シェアリングサービスなど、さまざまな交通手段を単一のプラットホームやアプリケーションを通じて統合し、利用者が効率的かつ容易に移動を計画・実行できるようにするサービス)である。
つまり、最新の技術やアイデアを駆使し、コストを最小限に抑えた移動手段である。オンデマンドの自動運転車、企業バスの移動手段としての活用、キャッシュレス決済やカード決済など、さまざまなニーズに対応した開発が進められている。
また、免許を自主返納した高齢者をターゲットにしたスタートアップ企業にとっては、今後増加が見込まれるビジネスチャンスと捉えることもできる。地域でライドシェア事業を行う事業者や、こちらからサービスを持ち込むプッシュ型の事業展開もある。
移動式書店、スーパーマーケット、理髪店、ドラッグストアなど、過疎地のニーズに応えるサービスはビジネスチャンスになり得る。双方にとってプラスとなる新たなビジネス展開に期待したい。