なぜ高齢者は運転免許証の「自主返納」をためらうのか? 交通問題の深掘りで見えてきた痛ましい現実とは

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近年、交通事故のなかでも特に高齢者の自動車事故が注目されている。運転免許証の自主返納を促す動きもあるが、これで本当に問題は解決するのだろうか。

女性タクシードライバーの進化

タクシードライバーのイメージ(画像:写真AC)
タクシードライバーのイメージ(画像:写真AC)

 運転免許証の自主返納を考えても、生活に支障が出ることを懸念してちゅうちょする高齢者は多い。それが自主返納の減少に反映されている可能性が高い。地域社会では、自主返納が日常生活に不便をきたさないよう、さまざまな取り組みが行われている。

 女性タクシードライバーの利便性向上の一環として、車内への名前や似顔絵の掲示義務が撤廃されたほか、子育て中の女性も働きやすいように、アプリでマッチングし、客を決まった時間に決まった場所までタクシー業務を行う短時間勤務スタイルも始まっている。

 また、地域のNPOが運営するコミュニティーバスが巡回し、自家用車を使って有料で移動するライドシェアも検討されている。実際、タクシーが少ない兵庫県の山間部では、地域の普通免許を持つ人がドライバーとなって住民を運んでいる。かつて日本では禁止されていた「白タク」である。

 もちろん、職務を遂行するためには国が定めた講習を受けることが義務づけられており、市街地ではタクシー会社のNPOが安全管理・運営を担っている。国土交通省は、今後も一定の条件のもと、過疎地に限り自家用車を使った有償の移動支援サービスを認める方針だ。ただし、解決には時間がかかりそうだ。

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