なぜ高齢者は運転免許証の「自主返納」をためらうのか? 交通問題の深掘りで見えてきた痛ましい現実とは
近年、交通事故のなかでも特に高齢者の自動車事故が注目されている。運転免許証の自主返納を促す動きもあるが、これで本当に問題は解決するのだろうか。
都市の人口集中とドライバー不足
なぜバスやタクシーは衰退しているのか。
理由は、ドライバーの高齢化と担い手の減少などだ。厚生労働省の調査によると、全産業の労働者の平均年齢は42歳だが、バスドライバーの平均年齢は51.2歳、タクシードライバーは60.7歳とさらに高い。一般ドライバーと同様、高齢のバスドライバーやタクシードライバーが引退するにつれ、さらなる減少が予想される。
また、都市部への人口集中により、地方の人口が減少し、バス利用者が減少した結果、本数が減少しているケースもある。
ドライバーの減少によるバスの運行台数減少の傾向は都市部でも見られ、今後も増加することが予想される。さらに、2024年4月からドライバーの労働規制が強化されるため、バスドライバーの年間労働時間の上限が3300時間に引き下げられることが決まった。
その結果、将来のバスドライバー不足は2030年には3万6000人になると予測されている。