自動運転「無人タクシー」2025年実現も 西新宿の実証実験で明らかになった“2つの重要課題”

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西新宿エリアで2022年1~2月に行われた、自動運転移動サービスの実証実験。2023年度のサービス開始を目標に、残された課題を検証した。実現のための“ラスト・ワンマイル”とは果たして?

「公共交通×エリア限定」で増す現実味

路側からセンサーで検知した情報は5G経由で車両に伝えられる(画像:大成建設)。
路側からセンサーで検知した情報は5G経由で車両に伝えられる(画像:大成建設)。

 ここで興味深いのがインフラ協調(V2I)による自動運転技術の検証についてだ。通信にはすべて5Gが使われた。

 まず紹介されたのが新宿駅西口地下ロータリーに設置したセンサーによる発進支援。ブラインドとなって見えない状態の車両をこのセンサーによって発進車両に知らせるというものだ。イメージとしてはカーブミラーを使って死角となるエリアを見えるようにすると言えばわかりやすいかもしれない。

 他にも信号機と車両と連携するプログラムも実施された。これは青信号や赤信号の表示の“残秒数”を把握できるようにするもので、この時間を事前に把握することで信号の切り替わるタイミングに合わせて車両の減速や発進をサポートする。通信に5Gを使うことで、周囲の環境に左右されない安定した通信を実現しているという。

 交差点では対向車線の直進車や横断歩道を渡っている歩行者を検出して、自動運転車両が安全に右左折できるタイミングを算出。さらに車両側のセンサーで死角となるエリアをインフラ側から検出することで、交差点での安全な右左折を支援する。

 また、衛星からの電波をロストしやすいトンネル内では、反射強度の異なる塗料を壁面に塗布して、これを車両側のLi-DARで認知して自車位置特定に役立てる。

 今回の実験ではあくまで公共交通機関での活用が主たる目的だ。その意味では、不特定多数の車両が対象となるマイカーと違って自動運転の実用化ははるかにしやすい。たとえば5Gを活用するにしても、本来なら電波の特性上、広範囲での展開は難しいが、エリアを限定すれば実現性は高くなる。また、駐車車両の問題にしても専用/優先レーンとすることで一定の効果はあるはずだ。

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