韓国のトラック運転手が愛した哀愁音楽「ポンチャック」を知ってるかい? アップテンポなテクノ演歌、90年代に日本輸入の過去も

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かつて韓国のトラックドライバーは「ポンチャック」という音楽を愛した。ポンチャックとは何か。そして日本との関係は。

アップテンポでテクノ調の演歌

トラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)
トラックドライバーのイメージ(画像:写真AC)

 トラックドライバーにとって、音楽は運転中に欠かせないものだ。単調なドライブを楽しく盛り上げたり、眠気を覚ましたりするのにとても効果的だ。カセットテープからCD、スマートフォンへとメディアは変わっても、ドライバーと音楽の関係は変わっていない。

 このようなトラックドライバーの音楽文化だが、韓国では特異な形で発展してきた。韓国の高速道路のサービスエリア(SA)に行くと、アップテンポでテクノ調の演歌を耳にすることが多い。飲食店だけなく、そのような音楽を販売する専門店があるのだ。

 かつて日本の高速道路のSAでは、

・『懐かしの○○○』といった安価なベスト盤CD
・無名の歌手が有名なカバー曲を歌ったCD

がよく売られていた。しかし、スマートフォンの普及やCD非搭載のカーオーディオの増加により、そうしたCDは減少傾向にある。しかし韓国では、トラックドライバーをターゲットにしたこの特殊なジャンルの音楽のカセットやCDが、いまだにビジネスとして成立しているのだ。この特殊なジャンルの音楽は「ポンチャック」という。

 ポンチャックの源流は韓国演歌にある。韓国の演歌は一般に「トロット」と呼ばれる。代表的なのは、南珍の「カスマプゲ」(1967年)とチョー・ヨンピルの「釜山港に行こう」(1976年)で、いずれも日本でさまざまな歌手がカバーしている。

 ポンチャックは韓国演歌から派生して1980年代に誕生した。シンセサイザーなどの伴奏に合わせて、歌が途切れることなくメドレー形式で歌われる。

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