高速トラックが時速90kmに! 最高速度より「賃金」引き上げが先決だ
2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーに年間960時間という時間外労働の上限が課せられ、輸送力不足が深刻化することである。その対策として、なぜ最高速度の引き上げが行われるのか。
荷主支配の現実
2024年問題において重要なのは、こうした問題のほうだ。一部の大手事業者を除けば、多くの物流企業は荷主・元請けに対して弱い立場にある。トラックドライバーは、いわれるがままに、時間内に言い値で荷物を運ぶしかない存在だ。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
・ドライバーが急がせない
・多重下請け構造による支配被支配の関係をつくらせない
・きちんとした報酬を払う
といった政策のほうが、問題解決には重要だ。最高速度の引き上げの重要度は低い。実際、SNSを見てみると
「人手不足 → 最高速度の向上 → 理解不能」
といったような意見があった。「理解不能」というのは、トラックドライバーなら誰もが共通して持つ感想だろう。
ならば、こんな政策が実現してしまったかも、記しておこう。
もともと最高速度の引き上げは、2024年問題の対策として物流業界の一部で主張されてきたものだ。例えばヤマト運輸は、2023年12月に開催された経済産業省・農林水産省・国土交通省による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第4回検討会で「物流業界が抱える課題と対応策について」として、速度の引き上げでサービスとコストの維持改善ができると主張している。発表資料では、東京大阪間の移動を例にあげ、
・時速80kmで走行:実態拘束時間は「12.5時間」
・時速100kmで走行:実態拘束時間は「10.5時間」
と、2時間短縮できるとしている。