高速トラックが時速90kmに! 最高速度より「賃金」引き上げが先決だ
2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーに年間960時間という時間外労働の上限が課せられ、輸送力不足が深刻化することである。その対策として、なぜ最高速度の引き上げが行われるのか。
速度抑制装置がもたらした安全性
この提言に基づいて、政府では道交法施行令を改正し総重量8t以上の中大型トラック(トレーラーは除外)の最高速度を緩和することを決定したのである。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
ごく単純に考えれば、速度がアップするすれば、輸送時間が短くなり効率的に荷物を運ぶことができそうだ。でも、そんなに単純に問題が解決するのだろうか。
上記のように、トラックの事故は20年あまりで激減しているが、その理由は
「強固な速度規制が導入された」
ためだ。トラックでは2003(平成15)年6月に速度抑制装置が義務化されて、最高時速90kmを超える速度が出せなくなった。これは90kmを超えると燃料供給が制限されて、どんなにアクセルを踏んでも速度が上がらない仕組みだ。
2003年に、速度抑制装置が義務化されたのは、法令に違反したスピードで走行するトラックに起因する事故を減らすことが目的だった。
当時、規制緩和で増加したトラック業者にも拘わらず、不況で荷物は減少していた。少ないパイを奪い合うなかで、速度違反を繰り返して早く荷物を運ぼうとするトラックは絶えなかった。高速道路では時速100kmを超えて運転するトラックも当たり前だった。結果、事故は多発した。
そこで国土交通省が決断したのが速度抑制装置の義務化だった。国土交通省では速度抑制装置の義務化で事故は2~4割減ると試算していた。実際には20年間で半分以上減っているので、かなりの効果があったのは確かである。導入時には物流が混乱するとして、反対する意見もあったが、事故の減少は、そうした反対論を一掃した。