港から貨物駅まで「モノレール」を走らせる! コンテナ輸送急増の中国で生まれた画期的アイデアをご存知か
東京港の課題解消
この貨物モノレールは本当に機能するのだろうか。
武漢では有望だ。鉄道の延伸は難しく、トラック輸送の限界も見えている。貨物モノレールはこれらの問題を解決してくれるだろう。しかも低コストだ。汪氏によると、陽邏港と香炉山間の輸送コストは人民元で8.9元/TEUだという。これは強引に鉄道を通した場合の50元、自動車輸送の90元、はしけ輸送の200元よりはるかに安い。
しかし、これは普遍的な解決法ではない。あくまでも特殊な解決策である。
なぜなら、荷物を一度積み替えるという無駄があるからだ。
本来、積み替えは一度でよい。コンテナ船から貨物列車に積み替える。あるいは、貨物列車からコンテナ船に積み替えるだけとなる。これは、広州南沙港も上海洋山港もそうなっている。
対して、貨物モノレールは2回積み替えを行う。コンテナは船からモノレールに積み替えられ、モノレールからまた貨物列車に積み替えられる、またその逆順をたどる。
これは不経済だ。輸送コストは8.9元と低いが、本来は不要なコストである。
ただし、この方法は、同じような問題を抱える東京港にも適用できるかもしれない。
国内のコンテナ輸送は、鉄道や船舶輸送への切り替えが急がれている。その背景には、環境負荷の低減と同時に、労働時間の適正化にともなう「2024年問題」への対応がある。
だが、コンテナ取り扱いの中心である東京港に鉄道を導入するのは難しい。敷地確保は困難を極める。地下化はコスト面で現実的ではない。また、何をするにも曲率や勾配の問題が出てくる。
貨物モノレールは、こうした問題を解決できる選択肢のひとつだ。敷地は最小限で済み、大きな曲率や勾配にも対応できる。道路上にも水上にも設置できる。モノレールは、東京港から新木場を越えて船橋方面に延ばして武蔵野線、あるいは川崎方面にある鶴見線へのコンテナの無人輸送手段となり得るのである。
●参考文献
・汪宇亮「集装箱空軌貨運系統装卸工芸技術設計及効用」『鉄道貨物』40.8(2022年8月)pp.22-29.