ダイハツ再発防止策 開発日程「1.4倍延長」は吉と出るか? 1月の軽3位転落&シェア半減に見る、避けられぬ市場競争の激化

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ダイハツは、国土交通省に再発防止に関する報告書を提出。開発標準日程を従来の1.4倍に変更するとした。本報告書では、再発防止策としての開発期間の延長に焦点を当て、検証する。

ダイハツの新たな開発方針

ダイハツ工業のウェブサイト(画像:ダイハツ工業)
ダイハツ工業のウェブサイト(画像:ダイハツ工業)

 国土交通省に提出された報告書では、第三者委員会からの指摘を受け、短期日程の見直しによる必要期間の確保策として、以下の内容が示された。

・従来は同時に製作していたKS(確認試作)車とNS(認証試作)車の日程を切り離し
・KS車を認証試験に使用する事を禁止する旨を技術標準に明記

さらに、

・KSまでの日程見直し:意匠データの品質確保及び、図面品質の確認期間を確保
・KS以降の日程見直し:開発完了確認会議で開発業務完了が確認できた場合のみNS車製作など、認証申請プロセスへ移行。これにより、開発段階の問題をNS車に持ち越さない。

などとなっている。以上のことから、各工程が十分な日程を確保できるよう、開発スケジュール全体の標準日程を従来の1.4倍に設定するとしている。

 2023年12月に公表された第三者委員会の調査結果によると、2011(平成23)年9月に発売したミライースの開発期間を大幅に短縮したことが功を奏し、2016年にトヨタ自動車の完全子会社となるまで開発リソースが十分に確保されず、開発部門の自助努力に頼って短い開発期間を推進していたとしている。

 ミライースの開発期間は11か月だったようだが、車両の開発スケジュールや開発期間は各自動車メーカーの機密事項であるため、実態を把握することは難しい。業界内では通常の開発期間は3年程度と想定されており、11か月という短期間で開発したことがいかに

「異常」

であったかは容易に想像できる。

 しかし、ダイハツの標準的な開発スケジュールは、11か月という長さではなかったようだ。ミライースがにモデルチェンジを行ったのは発売から6年近くたった2017年5月で、タントやムーヴなど他の人気車種もサイクルは6年前後である。したがって、標準的な開発スケジュールを1.4倍延長すると、実質3年程度の開発期間が1年程度延びることになると想定される。

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