スマートシティは本当に成功するか? 新橋駅「幻のホーム」問題などから考える

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スマートシティ実現に向けて全国各地が盛り上がる一方で、物理的・精神的障壁もまだまだ多い。ということで今回は、東京の地下鉄に眠る「幻の駅」「幻のホーム」の存在から都市計画の困難性を論ずる。

昭和の歓楽街と都市の今後

2013年7月当時の三原橋地下街(左)と取り壊された現在の様子(画像:(C)Google)。
2013年7月当時の三原橋地下街(左)と取り壊された現在の様子(画像:(C)Google)。

 しかしその実態は、戦後の東京の都市開発が生み出した陰の部分だった。

 三原橋地下街の開業は1952(昭和27)年。もともと三十間堀川という川だった場所を、東京都が戦災のがれきで埋め立てて建設した。当初の計画では観光案内所などの施設が入居する予定だった。それが文字通り「戦後のドサクサ」でまた貸しされ続けた結果、飲み屋や映画館、パチンコ店などが入居する歓楽街になったのである。

 現代ならばとっくに事件となるが、三十間堀川の埋め立てそのものが

「銀座の一等地に誰のものでもない土地(実際には都有地)ができた」

という出来事であるため、不法占拠する者も続出。都庁の役人や政治家が絡んで、さまざまなスキャンダルも発生、メディアをにぎわせた。そして混乱期が落ち着き、東京都では日比谷線建設に際して前述の地下街の建設を計画した。

 しかし、三原橋商店街の店舗は移転を拒否。そのままウヤムヤになってしまい、移転予定部分は放置された。現在は東京メトロの掃除用具入れとして利用されているという。東京にはこのようなロマンもない「幻」のほうが実は多い。

 繰り返しになるが、たいていの都市計画は予定通りに進まない。人口の少ない地域で新たな開発を行うにしても、既に人口の集中している都市を再開発するにしても、同様だ。スマートシティも同様の結果にならないか――わずかだが筆者にはそのような懸念がある。

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