救急車は有料化されていない! 病院の「受診料」が高くなるだけだ

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三重県松坂市では、「入院に至らない軽症者」が救急車を利用した場合、病院が選定療養費として7700円を徴収することになった。本稿では、救急車の適正利用を促すための背景と、通院制度について述べる。

報道と現場の認識違い

救急車(画像:写真AC)
救急車(画像:写真AC)

 最後に、救急車の適正利用を推進する重要な視点を紹介したい。

 各ニュースの見出しには、「救急車の有料化」を連想させる言葉が並ぶ。しかし、救急車が有料と認識されると

・有料だから優先的に受診できる
・有料だからタクシー代わりに利用できる

などと誤解される。そもそも、松坂地区広域消防組合に苦情が寄せられ、現場が困るケースも想定される。

 救急車の適正利用を推進するための重要なポイントは

・悪質な利用を抑制する(タクシーとしての利用)
・軽症者に対する適切な救急受診を周知する(#7119など)
・軽症者を判断し、隠れた重症者を見落とさない仕組みを作る
・悪意なく救急車を利用する独居高齢者や知的障害者を適切な施設につなぐ
・本当に救急車が必要なときには、ちゅうちょなく救急車を呼べる

ことだと、筆者は考えている。現場では、頻繁に救急車利用を要請する独居高齢者を個別に訪問するなど、救急車の適正利用を促す体制が整いつつある。

 行政機関が救急車の適正使用を奨励し、政治がこの責任を担っていることは評価できる。メディアもまた、救急車の適切な利用を促進する手助けをしなければならない。

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