F1業界は閉鎖的な「ムラ社会」 近年は売り上げ至上主義が支配、今後大丈夫なのか
F1の今後を占う大きなトピックのひとつが、アンドレッティ・フォーミュラ・レーシングが11番目のチームとして参戦できるかどうかだ。
F1の米国人気を急上昇させた要因
それまで米国はF1不毛の地だったが、ネットフリックスがドキュメンタリーシリーズ『フォーミュラ1:栄光のグランプリ』を放映したことで人気が急上昇。多くの米国企業がF1のスポンサーとなり、基本的に1か国で開催されるF1シリーズのうち、2023年からは米国だけで3レースが開催されている。
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米国の世界的プレゼンスが低下傾向にあるのは事実だが、それでもお金を生み出す力は段違いだ。米国での成功は企業の経済的繁栄とほぼ同義である。
そのアプローチには負の側面もある。いわゆるセナ・プロ時代は全16戦だったが、2024年は前述のアラブ4戦、米国3戦を含む全24戦。1年はおよそ52週間で、1年の半分近くがF1イベントに費やされることになる。
しかも、3月から12月までの9か月間にわたって開催されるため、非常に濃密なレースとなる。米国のストックカーレースであるNASCARは、もともとレース数が多い。2024年のレギュラーシーズンは全26戦、プレーオフを含めると最大36戦となる。メジャーリーグは全162試合、オールスターやポストシーズンを含めると最大186試合となる。つまり、米国は試合数を増やすことで売り上げを伸ばそうとしているのだ。
リバティがFOGを掌握して以来、まさに“米国スタイル”の傾向となった。NASCARやMLBは米国国内だけで済むが、F1は世界中を転戦するため、ドライバーやチームスタッフの健康面を考えると、すでに負担が大きすぎると考えられている。熱心なF1ファンでも、1年の半分の日曜日がレース日となると、プライベート面でもいろいろと考えてしまうはずだ。