自動運転は「車の流れ」を悪くする? AI社会到来がおよぼす深刻な法的問題とは

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日に日に注目を浴びる自動運転。しかしその普及に代表されるAI社会の到来は、私たちの生活や経済だけではなく、法やルールのあり方までを変えていく可能性がある。

プログラムコードが法に代わる時代

自動運転中の車内でくつろぐイメージ(画像:写真AC)
自動運転中の車内でくつろぐイメージ(画像:写真AC)

 そして、一番大きな問題になると考えられるのが事故に対する「責任」である。現在の自動運転では想定外の動作をしたり制御不能に陥ったりしたときは人間がセーフティ・ボタンを押すことが期待されている。

 しかし、このときに人間が適切に対応できるかどうかは疑問も残る。レベル3の自動運転でも特に異常がなければ人間は運転操作をする必要がない。だからカーナビやスマートフォンを操作することが許されるのである。

 そのとき、突然のアラームによって今までスマートフォンをいじっていた人間がスムーズに運転を引き継げるとは限らない。特に自動運転のレベルが上がれば、それだけ人間が操作に関わることは少なくなり、とっさに回避行動をとることは難しくなっていくであろう。すぐに適切な行動が取れずに事故を起こしてしまった場合、人間の責任をどの程度問えるのか? といった問題も起こってくる。

 ここまでは主に本書の第2章の議論を紹介してきたが、第5章でもこれからのモビリティと法についての興味深い議論が紹介されている。

 アメリカの法学者ローレンス・レッシグは90年代の終わりに「コードが法に代わる(Code is law.)」と言った。これは、今までの法に代わってプログラムなどが人々の行動を規制するようになるということだ。

 例えば、今までは自動車の最高速度を法によって制限していたが、自動運転になればプログラムによってそもそも一定以上の速度を出せないようにすることもできるのである。

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