自動運転は「車の流れ」を悪くする? AI社会到来がおよぼす深刻な法的問題とは

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日に日に注目を浴びる自動運転。しかしその普及に代表されるAI社会の到来は、私たちの生活や経済だけではなく、法やルールのあり方までを変えていく可能性がある。

普及で求められる不具合への適切な対応

自動運転中にスマートフォンを使うイメージ(画像:写真AC)
自動運転中にスマートフォンを使うイメージ(画像:写真AC)

 しかし、こうした取引が主流になることは法的な難しさもはらむことになる。

 現在、契約の代表例は売買契約であり、これは目的物を引き渡すことによって完了する。ところが、配信サービスの場合、配信者は著作物の利用を認めるだけであり、何か実体を引き渡しているわけではない。そのため、配信サービスが終了すると買ったはずの本が読めなくなるという問題も起こっている。

 自動車が「サービス」となった場合、そのサービスがいつ始まっていつ終わるのか? 途中で故障などでサービスが提供不能になったらどうするのか? などの問題が生まれてくると考えられる。

 また、製造物責任の問題では「モノ」の場合、商品の引き渡し時点を基準時として、製造業者は欠陥のない製造物を引き渡す義務がある。しかし、自動運転の自動車の場合、車体の欠陥だけでなく、組み込まれているソフトウエアの欠陥が問題になるケースも出てくると考えられる。

 日本の法律ではソフトウエアは製造物ではないが、それを組み込んだ製品は製造物になる。ただし、製造物の引き渡し時にまったくバグのないプログラムというものは想定しにくく、欠陥が見つかるたびにアップデートするのがソフトウエアの世界では主流となっている。

 そこで自動運転の自動車が普及すれば、ユーザーに対しては引き渡し時の欠陥の有無よりも、むしろ不具合に対する適切でタイムリーな対応が求められることになる。そのため、自動運転の普及とともに「責任」の所在についても見直さざるを得なくなってくる。

 まず自動車自体の欠陥についての責任だが、これは従来は自動車メーカーが負っていた。販売した自動車に欠陥が見つかれば自動車メーカーがリコールを行って必要な修理を行うのである。これが自動運転のソフトウエアの欠陥となると、必要なアップデートを行うのは車体をつくって販売した自動車メーカーなのか、それともソフトウエア会社なのかが問題になる。

 パソコンにおいてはアップデートの責任を負うのはソフトウエア会社(ウィンドウズならマイクロソフト)ということになっているが、自動運転の自動車において、パソコンのように責任の所在をきれいに切り分けられるのかどうかはわからない。

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