熊本空港アクセス鉄道 「所要時間短縮」は本当に新観光ルート形成につながるのか?
熊本県は、JR豊肥本線と熊本空港を結ぶ阿蘇くまもと空港アクセス鉄道(仮称)の環境影響調査を進めている。果たして、所要時間の短縮は、新たな観光ルートの形成につながるのだろうか。
空港アクセス鉄道とCO2削減
空港アクセス鉄道の整備によって期待される効果として、自動車から環境負荷の小さい鉄道への転換によるCO2削減も挙げられる。
カーボンニュートラルを目指す戦略的な取り組みで、CO2削減効果は年間318.1t(ドラム缶700本分のガソリン使用料削減に相当)を見込む。
また、空港アクセス鉄道整備では「誰一人取り残さない公共交通の実現」を掲げ、バリアフリー化による子どもや高齢者、障害者の交通手段の確保や、他の公共交通と連携したコンパクトなまちづくりを目指す。
ルートの検討における配慮について県は、肥後大津駅とその周辺の市街化された地域、中間部の水田耕作地域と白川河川部は、周辺環境への配慮から、高架構造を基本に検討を行う。
また、高遊原台地は台地下からの標高差が大きいため、高遊原台地端部から空港付近の区間においては、地下トンネルを基本に検討する。高遊原台地区間の大部分をトンネル構造とする場合は、掘削発生土の受け入れ地を検討し、その輸送に伴う周辺交通への影響を可能な限り低減する考えだ。
県と熊本国際空港、東海大学は「空港周辺エリアを活用した地域活性化に関する連携協定」を締結した。空港に隣接する県の産業支援施設テクノリサーチパークと、東海大阿蘇くまもと臨空校舎がそれぞれの強みを生かして連携を強化するもので、空港周辺エリアの活性化と利用者の利便性向上を図る。3者の連携によって「大空港構想」と、地域資源を活用した新産業の創出を目指す県の「UXプロジェクト」の推進につなげたい考えだ。
今後は、共同開催イベントの実施や空港周辺地域におけるスマートシティの創造、脱炭素化の推進などに取り組むほか、空港施設での情報発信を展開していく。