熊本空港アクセス鉄道 「所要時間短縮」は本当に新観光ルート形成につながるのか?
熊本県は、JR豊肥本線と熊本空港を結ぶ阿蘇くまもと空港アクセス鉄道(仮称)の環境影響調査を進めている。果たして、所要時間の短縮は、新たな観光ルートの形成につながるのだろうか。
選ばれた「肥後大津ルート」
2021年度に実施した空港アクセス改善に向けての検討では、台湾の大手半導体企業TSMCが菊陽町に進出することが決定し、空港周辺の人や物の動きが変化することを想定。県内全域の交通ネットワークの利便性向上につながるよう、
・三里木ルート
・原水ルート
・肥後大津ルート
の3ルートで調査を行い、比較検討を実施した。
調査の結果、概算事業費は、肥後大津ルートが410億円と最も低額な試算となり、便益総額を費用総額で割った費用便益比(B/C)についても同ルートが
「最も事業効率が高い」
と判断された。直通運行により乗り換えが不要であり、JR九州による肥後本線などとの一体的、効率的な運行管理や将来の機能強化といった効果が期待される。
県とJR九州は、空港アクセス鉄道と豊肥本線全体の利便性の最大化と運営の効率化という目標を共有し、早期実現に向けて協議を進めていくことを確認した。
豊肥本線沿線地域での民間の動きを見ると、TSMCの進出により関連企業の進出も活発になるほか、原水駅周辺では新たな街づくり計画があり、肥後大津駅周辺では多くのマンション建設計画が進んでいる。沿線地域全体を幅広くカバーする空港アクセスが鉄道が実現すれば、さらなる発展が現実的になるだろう。