「まるでコロナ禍」 北陸新幹線3月延伸も、福井の観光地寂れる現実 能登半島地震“風評被害”克服できるか
北陸新幹線が延伸される福井県の観光地が閑散としている。能登半島地震の風評被害が続いているためで、100年に一度のチャンスがピンチになってしまったことに関係者は困惑している。
先行きが怪しい新幹線開業効果
新幹線の開通に全国から最も注目が集まるのは開業直後だ。北陸新幹線が石川県金沢市まで延伸した2015年当時も延伸開業と同時に金沢市へ多くの観光客が押し寄せ、金沢市を気に入ったリピーターが生まれている。福井県も開業と同時に多くの観光客を集め、福井ファンを増やそうと算盤をはじいていたが、先行きが怪しくなった。
福井県内の観光地は広域に分散し、金沢市のように市中心部に集中しているわけではない。知名度の点でも金沢市に見劣りし、
「金沢ブームを福井県で再現するのは難しい」
との見方が出ている。現時点で開業時にどれだけの利用客があるかどうかは予測しづらい。
国土交通省やJR西日本は敦賀延伸を予定通り、3月16日に実現させる方針。延伸区間の完成検査で問題は見当たらず、合格書が国交省からJR西日本へ手渡された。JR西日本の長谷川一明社長は記者会見で
「延伸が北陸の復興につながることを期待している」
と述べている。
100年に一度の好機がピンチになった北陸新幹線の延伸開業。被災者に寄り添いながら、再び好機に変えるにはどうすればいいのか、福井県の力量が問われている。