「まるでコロナ禍」 北陸新幹線3月延伸も、福井の観光地寂れる現実 能登半島地震“風評被害”克服できるか
芦原温泉のキャンセル総額は約4億9000万円
3月に北陸新幹線延伸を控えた福井県の観光地で閑古鳥が鳴いている。能登半島地震の風評被害が続いているためで、関係者は100年に一度の好機がピンチに変わって困惑している。
「関西の奥座敷」と呼ばれる福井県あわら市の芦原(あわら)温泉。福井県を代表する温泉地で、あわら市が推計した2022年の観光客数が130万人を超す人気観光地なのだが、温泉街を歩く観光客は少ない。
芦原温泉旅館協同組合で話を聞くと
「(1月)27、28日の週末も閑散としていた」
という。
芦原温泉は元日の能登半島地震で最大震度5強の揺れを記録したものの、大半の宿泊施設が大きな被害を免れた。あわら市によると、通常通り営業しているのは23の宿泊施設。しかし、あわら市が2月からリニューアル工事に入った1施設を含む24施設から聞き取り調査したところ、宿泊予約のキャンセルが続出していることが分かった。
1~3月のキャンセル件数は予約全体の3割近い約6600件、総額
「約4億9000万円」
に上る。なかには約2000件、1億円を大きく上回るキャンセルが出た施設もあった。
その他観光名所にも影響
北陸新幹線が3月16日、福井県敦賀市まで延伸することにより、車で約10分の距離にあるJR芦原温泉駅が新幹線停車駅になる。関係者は宿泊客の増加を期待していたが、出はなをくじかれた格好だ。
あわら市観光振興課は
「本来なら越前ガニのシーズンで書き入れ時なのに、大きな影響が出ている」と頭を痛めている。
旅館業者のひとりは
「1、2月のツアー予約が消えてなくなった。まるでコロナ禍のころに戻ったようだ」
と肩を落とした。
ドラマのロケ地として有名な断崖の東尋坊を抱える坂井市や福井県立恐竜博物館がある勝山市も状況は似ている。首都圏や関西からの観光客が福井観光の予定を他の地方へ切り替え、観光客が消えた。
東尋坊は平日でも5、6台の観光バスがやってくるのが普通だったが、1台も来ない日が珍しくない。近くの飲食店主は
「地震に対する不安からキャンセルの電話が続いている。人出も例年の1割ほど」
とがっかりした口ぶり。福井県立恐竜博物館は
「大雪で敬遠した人もいるだろうが、風評被害の影響が確かに出ている」
と説明した。