「バイク = 暴走」というイメージが今も根強いワケ 犯人はマスコミだった? 若者とバイクの歴史を振り返る
過去50年にわたる日本のバイクと若者の歴史を検証し、現代のバイクや新しい乗り物など、二輪車の未来について考える。
メディアの影響

しかし、当時バイクに興味を持っていた若者全員が、必ずしも暴走や危険な走行に興味を持っていたとは、データからは読み取れない。
暴走族に関する統計によれば、1982(昭和57)年の4万人をピークに、全人口と比較すると少数であり、1990年代以降は減少の一途をたどっている。
それでも「バイク = 暴走」というイメージが現在でも根強いのは、当時のマスメディアが暴走族の行動を社会問題であると同時に、社会に対する英雄的な抵抗行為として扱っていたからである。
当時の暴走族に密着した研究(佐藤、1984年)によると、暴走族を憧れの対象とする写真集や本の発行が相次ぎ、暴走族もそれを意識して暴走行為や服装をより過激にエスカレートさせていったという。
そうしたヒーロー像は、現代で「ヤンキー」と呼ばれる不良文化とともに、テレビドラマや映画、漫画、さらには音楽(バンド)を通じて一般大衆に定着した。
2000年代以降、暴走族の数や少年比率は大幅に減少したものの、グループの数はピークに達し、かえって人々の目につきやすい存在になっていたとも考えられる。