EVシフトが鈍化しても油断するな 完成車メーカーに先駆けて「自動車部品業界」が取り組むべき3つの必須事項とは【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(14)

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ここ2~3年、BEVやPHEVの販売台数は急速に伸びており、EVシフトが拡大している。しかし、最近ではポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報も報じられている。

変わっていない要件

新車販売に占めるZEVとPHEVの割合(画像:The California Air Resources Board)
新車販売に占めるZEVとPHEVの割合(画像:The California Air Resources Board)

 一方、変わっていないものもある。

 環境規制に関する旗は地域・国とも降ろしていない。米国カリフォルニア州の新ゼロエミッション車(ZEV)規制である「Advanced Clean Cars II」は、2035年で新エネルギー車100%を求めている。米国バイデン政権によるIRA法案も堅持である。さらに、欧州連合(EU)による「2035年の内燃機関車の新車販売禁止」規制は、e-Fuelについては、2024年秋までに制度設計を固める予定であるものの、基本的には変わっていない。

 年明けには、中国政府が、2027年までに新エネルギー車の比率を45%に高めると発表した。従来の2035年50%目標に対して前倒しするものである。実績でいえば、中国2023年のBEV、PHEV販売台数は950万台(対前年比38%増)となり、自動車販売に占める新エネルギー車の比率は約32%に達した。2024年も好調を維持し、20%増の1150万台が予想されている。

 このようなポジティブとネガティブなニュースを考えると、2024年は、急激なEVシフトに対して、次第に課題が出てきており、これら課題克服を模索しながら、成長ベースが鈍化して進んでいく、いわゆるEVシフトの

「踊り場」

となるのではないだろうか。逆にいえば、出遅れている日系自動車メーカーや自動車部品産業にとって、挽回のチャンスであろう。

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