能登半島地震で注目の「トイレカー」 水洗ならぬ“燃焼式トイレ”とは何か?

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大規模災害で問題になるのは入浴とトイレだ。特にトイレは日々の体調に直結するケースが多く、自治体や支援団体の悩みの種となっている。

注目の燃焼式トイレ

燃焼式トイレ「インシノレット」(画像:ディラック)
燃焼式トイレ「インシノレット」(画像:ディラック)

 最近の簡易水洗トイレは、基本構造を洋式にすることで使い勝手を向上させ、付属設備や清潔感も向上している。しかし、バキューム車の手配や運用に問題があると、トイレ自体の動作にも影響が出ることがある。つまり、トイレ自体のメンテナンスに加え、適切なサポート体制が不可欠なのだ。

 一方、近年注目されている新しいタイプの移動式仮設トイレが「燃焼式トイレ」だ。これは、電熱装置を用いて排せつ物を急速に燃焼させるものである。水洗トイレとは異なり、最終処理後に残るの少量の灰である。時間と手間がかからないという点で、優れたな構造である。

 燃焼式トイレは比較的新しい製品で、過去20年間に広く普及した。商品名はノルウェー製の「シンデレラ」である。国産品としては「インシノレット」や「ミカレット」が知られている。燃焼方式は電気式と灯油式があるが、いずれも最終生成物は灰のみという共通点がある。

 このタイプの燃焼式トイレは、もともと下水道のない地域の山小屋やコテージ用に考えられたものである。シンデレラの初代モデルも、山岳レジャー施設用のトイレだった。

 燃焼式トイレは、その高い環境性能と扱いやすさから、すぐにキャンピングカーやプレジャーボートにも採用されるようになった。そしてここでも、従来のトイレとは比較にならない使い勝手の良さも評価された。こうしたさまざまな実績をもとに、工事現場や災害時の仮設トイレなどにも使用範囲が広がっていった。

 ところで、筆者(守山進、フリーライター)が初めて燃焼式トイレの存在を知ったのは、今から20年ほど前のことである。阪神・淡路大震災を教訓にいすゞが開発した、さまざまな災害支援試作車の発表会だった。

 そこで発表されたトイレカーは、燃焼式トイレを採用していた。特別な支援システムを必要とせず、自己完結できる。災害対応支援車としては、実に好都合だと思ったのを覚えている。

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