沖縄出身ライターが県内屈指のリゾート地で「自動運転カート」に乗ってみた結果

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沖縄の遊歩道で自動運転を実現するための課題とは何か。本稿では「北谷町MaaSプロジェクト」についてリポートする。

望まれる交通弱者への対応

ミハマシャトルカートの側方(画像:伊波幸人)
ミハマシャトルカートの側方(画像:伊波幸人)

 区内の海岸線を一周するのに約20分かかった。その間、保安員が手動で走行したのは

・停止位置から白線に移行するまでの区間
・歩行者の多い場所
・障害物があり、白線を逸脱せずに走行することが困難な区間

だった。障害物は店舗が一時的に設置したと思われる。近隣店舗や歩行者の理解が必要かもしれない。今後は、近隣の店舗や歩行者の理解が必要だろう。

 自動運転を体験して感じた課題は次のとおりである。

・事業採算性
・安全性
・立って歩ける人が前提条件

 技術が進めば、白線がなくても自動運転が可能になるだろう。広告宣伝費や遠隔操作システムが確立できれば、事業継続性も高まる。しかし、カートに乗るためには、立って歩くことができなければならない。交通弱者の視点に立った移動の継続性を考えると、車いす利用者や同乗者がカートに乗り降りしやすい仕様が望まれる。

 例えば、シート横の肘置きを着脱式にすれば、車いすからの乗り降りが容易になる。また、座席への乗り降りに20cm程度の高さがあるので、ステップ台や手すりがあればなおよい。

 老人ホームから少人数で出掛けて利用すれば、景色も楽しめて気分転換にもなる。筆者は介護施設の運営に携わってきたが、このようなサービスがあればうれしい。事業採算性の観点からも、昼間に外出するシニア層を取り込むことは有益だろう。

 グリーンスローモビィリティーは交通弱者に優しいサービスではあるが、乗車時の配慮もあれば、よりよい交通手段になるはずだ。

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