沖縄出身ライターが県内屈指のリゾート地で「自動運転カート」に乗ってみた結果

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沖縄の遊歩道で自動運転を実現するための課題とは何か。本稿では「北谷町MaaSプロジェクト」についてリポートする。

静かな走行と共存する課題

遊歩道を走行するミハマシャトルカート(画像:伊波幸人)
遊歩道を走行するミハマシャトルカート(画像:伊波幸人)

 美浜地区の海岸線に着くと、観光地用にカスタマイズされた自動走行カートがずらりと並び、運転席には保安員が乗って客を待っていた。路面の白線の上を走るようになっているらしい。乗車料金を聞いたところ、

・大人:500円(県民は300円)
・小人:300円(県民は無料)
・未就学児:無料

という。

 料金の一部は広告収入で賄われているようだ。実際、経済産業省の資料によると、事業当初は運賃を無料にする予定で、カート上部には大手航空会社の広告が貼られていた。しかし、カートの広告費で保安員の人件費と運営費を賄うのは無理がありそうで、事業継続性を考えれば、料金を徴収することは不合理ではない。

 早速カートに乗ってみると、電動化で音が静かだ。電動化は、国土交通省が「グリーンスローモビィリティー」というコンセプトのもと、脱炭素社会を促す観点から推奨している。実際、カートは前を歩く人がカートの存在に気づかないほど静かだ。運転手いわく、

「子どもや犬はセンサーだけで避けるのは難しいかもしれないですね。カートに気づかず向かってくる人もいます。遠隔操作はしているが、どうしても少し遅れてしまいます。また、スマートフォンを操作しながら歩いている人も多いので、気づいてもらうまでに時間がかかります」

とのことだった。

 もちろん課題はあるが、走行音やセンサーの改善、遠隔操作性の向上により、将来的な性能は向上するだろう。標識で「注意!カートが走っています」と喚起するのではなく、路面の色を変えて「カート走行中」と表記するのもいいかもしれない。

 沖縄の青い海と空を楽しむことができ、日本とは思えない雰囲気を感じられた。美浜地区は米軍基地にも近く、外国人が多いのも好材料だ。ただし、カートの側面がオープンになっているので、日差しが強いときは日焼け対策が必要だ。冬場は防寒対策が必要だ。

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