結局、自動運転は「通勤の未来」を変えるのか? テクノロジー発展で現実化する“夢の働き方”
自動化レベル5で職場の駐車場が不要に?

このように各通勤手段には一長一短があるが、今後のテクノロジーの発展次第では大きく図式が変わるかもしれない。期待されるひとつは、自家用自動車の運転自動化レベル向上だ。
自動車技術会(JSAE、東京都千代田区)が定める「自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」には、運転自動化レベルが0~5まで6段階設定されている。レベルが3以上になると、運転の主体が人からシステムへと切り替わり、自家用自動車で通勤中に作業できる余地が生まれる。
レベルが3から5へと上がるにつれ、通勤中に作業できる余地は広がっていく。国土交通省が定めた「自動運転車両の呼称」に沿って先ほど示した比較表に落とし込んでみたのが、次の図だ。
運転が自動化できても道路事情が改善されない限り時間の正確さは変わらないが、他の項目は劇的に変わる可能性がある。レベル3では限定された領域でしかシステムが機能せず、緊急時は運転を代わらなければならない。
しかし、レベル5になると移動中にさまざまな作業に没頭することができるようになる。自分で運転しなければ体力も消耗せず、むしろ電車より快適に長距離移動ができそうだ。電車通勤だと負担の大きいシニア層や身体障碍者も通勤しやすくなるだろう。
さらにレベル5の自動運転が実現すると、職場に着いたら車だけ帰宅させ、終業時に再び迎えに来させるという送迎も可能かもしれない。すると、遠距離の場合はガソリン代とのてんびんになるが、理屈上は職場近辺での駐車場確保が不要になる。
またテレワークできる職種であれば、仕事中に自動運転で移動しながら日帰り旅行も可能だ。東京在住者が平日午前に仕事しながら山梨へと移動し、ランチ時間に富士山を間近に見ながらほうとうを食べ、午後はまた仕事しながら移動して帰宅する、といった芸当ができるようになる。