結局、自動運転は「通勤の未来」を変えるのか? テクノロジー発展で現実化する“夢の働き方”

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今年に入って、テレワーク推進の流れが弱まっている。テレワークで高い生産性を維持できないのは業務設計上の不備があるからだ。“夢の働き方”について自動運転を通して考える。

三つの通勤手段を比較

通勤手段の比較(画像:川上敬太郎)。
通勤手段の比較(画像:川上敬太郎)。

 テレワーク実施率が思うように上がっていかない理由の根底には、出社しなければ高い生産性を維持できないという業務設計上の不備がある。

 その課題克服は急務だが、一方で現時点では、どうあがいてもテレワークできない職種も存在する。医療・介護や運送、接客など、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種だ。テレワークがどれだけ広がろうとも、世の中すべての働き手が通勤から解放される訳ではない。そのため、テレワーク推進と並行して、通勤のあり方そのものを進化させることについても目を向ける必要がある。

 通勤手段として最もメジャーなのは、電車やバスなどの公共交通機関。一度に大人数が遠隔地まで移動できる。また、自家用自動車やタクシー、オートバイ、自転車、近距離であれば徒歩も通勤手段のひとつだ。

 それらの通勤手段には一長一短があり、どの手段がベストとは一概に言えない面がある。特長の異なる代表的な通勤手段として

・電車
・自家用自動車
・徒歩

をピックアップし、利用者である働き手側の観点から、ポイントを五つ挙げて比較すると図のようになる。

 電車は自ら運転する必要がないため、移動中に本を読んだり資料に目を通したりと時間を有効活用することができる。指定席でパソコンを置いて作業できるようであれば、移動中の作業可否は◎だ。

 信号トラブルや事故などでダイヤが乱れることはあるものの、おおむね到着時間を正確に計算することができる。しかし、移動中に座れるとは限らず、満員電車だと相当の体力消耗を余儀なくされる。また大人数が同じ空間で密になるため、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染リスクは他の通勤手段よりも高い。

 自家用自動車で通勤する場合は、自分で運転しなければならない。その分体力や神経を使い、長距離になるほど消耗することになる。事故を起こしてしまう危険性も伴う。当然、移動中に能動的な作業はできず、渋滞にハマると大きく時間が狂いかねない。一方で、基本的に車内はひとりで外気から遮断されているため、ウイルスへの感染リスクは低くなる。

 徒歩で通勤する場合は、そもそも移動できる距離が限られてきてしまう。また、通勤が長時間にならないため大きなデメリットにはならないものの、歩いている間は作業ができない。一方、ほぼ時間通りに出勤でき、誰とも話さずひとりで歩く限り人からウイルス感染するリスクは低い。

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