JR京葉線ダイヤ改正 異例の“見直し”で再認識された、「沿線住民 = 公共交通維持の主役」という事実

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鉄道会社が一度発表したダイヤ改正を修正することは極めて異例である。今回は京葉線問題を振り返り、修正が実現した意義について考える。

一宮町町長が警鐘

上総一ノ宮駅の位置(画像:OpenStreetMap)
上総一ノ宮駅の位置(画像:OpenStreetMap)

 では、JR東日本が譲歩し快速2本が維持されることで、問題は解決したのだろうか。実際には、解決したとはいいがたい。通勤快速は当初の改正内容通り廃止のままで、快速の本数も大幅に減ることに変わりはないからだ。

 特に外房線沿線の自治体では、不満の声が上がっている。千葉県の県紙『千葉日報』2024年1月16日付では千葉県の東部に位置する一宮町の馬淵昌也町長が、町内の人口が維持されている理由は外房線から京葉線経由で東京方面につながる利便性であることを説明し、今回のダイヤ改正は

「(町の)生命維持装置を外すのに近い」

とコメントしている。一宮町の中心駅である上総一ノ宮駅から東京方面へは、快速だけでなく平日午前7時発の通勤快速も設定されている。

 外房線沿線までが東京への通勤圏として成立しているのは、通勤快速・快速があってこそである。それが縮小されれば、地域の衰退は決定的だ。見方によっては、JR東日本が

「快速を2本だけ残すことで幕引きを図った」

とも見て取れる見直しに不満が残るのは当然だ。それでも今回の快速2本継続には意義があることは強調したい。これまで、どこの自治体もなし得なかった発表後のダイヤ改正の見直しを実現したからである。

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