JR京葉線ダイヤ改正 異例の“見直し”で再認識された、「沿線住民 = 公共交通維持の主役」という事実

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鉄道会社が一度発表したダイヤ改正を修正することは極めて異例である。今回は京葉線問題を振り返り、修正が実現した意義について考える。

ダイヤ改正の発表後の対応

駅構内の時計(画像:写真AC)
駅構内の時計(画像:写真AC)

 過去にも、ダイヤ改正の発表後に沿線住民から反対の声が殺到したことは何度もある。しかし、JRは発表後の変更に応じてこなかった。次はその例である。

●1988年3月
 京浜東北線で日中時間帯に快速電車を導入。御徒町・神田・有楽町・新橋の各駅が通過駅に。千代田・中央・港・台東・荒川の五区が撤回を求めるも「同じホームに止まる山手線はデータイムの運転間隔を五分から四分にして三十三本も増発する。乗り換えも容易で不便にはならない」と応じず。

●1991年3月
 内・外房線の特急が京葉線経由に変更、同時に導入された成田エクスプレスも千葉駅には停車しなかったため、県庁所在地の中心駅に停車しないのはイメージダウンだとして千葉市が再考を求めるも、拒否される。

●1994年12月
 中央線の土曜日ダイヤを休日ダイヤに移行。休日ダイヤでは通過駅となっていた高円寺、阿佐ケ谷、西荻窪の3駅が通過駅に。杉並区は快速電車の停車駅は1968(昭和43)年に高架化にあたって当時の国鉄旅客局長と沿線区市で協議し、決定した経緯があると抗議するが、JR東日本は応じず。

●2019年12月
 JRと相鉄の相互直通運転開始にあわせて、埼京線の運転間隔と快速列車の停車駅が変更に。中浦和駅~北与野駅間はすべて快速停車駅になったため、所要時間が3分延びるとしてさいたま市議会が再考を求める。

 いずれの場合も、JRは一度決めたダイヤ改正を変更したことはない。JRは反対意見に対して、ダイヤ改正の合理的な利点を説明してきた。今回の京葉線の問題でも

・快速/通勤快速の通過待ちがなくなる
・運転が等間隔化し、結果、車両の混雑は緩和される

という利点を説明し、説得を試みている。

 JR東日本も、利用状況などさまざまなデータをもとに、ダイヤを組んでいる。したがって、所要時間が延びても通過待ちの長時間停車がなくなり、混雑が緩和されたほうが、利用者にプラスの作用をもたらすのかもしれない。しかし、沿線では混雑緩和よりも通勤快速・快速の有無のほうが

「死活的な問題」

だったわけだ。

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