JR京葉線ダイヤ改正 異例の“見直し”で再認識された、「沿線住民 = 公共交通維持の主役」という事実
ダイヤ改正変更決定までの沿線の動き
JR東日本がダイヤ改正の変更を決断するまでの沿線の動きを、時系列で示そう。
・12月15日:JR東日本千葉支社がダイヤ改正を発表
・12月21日:熊谷俊人千葉県知事が記者会見で「沿線住民や事業活動に大きなマイナスがある。県として容認できない」と発言
・12月22日:神谷俊一千葉市長が「廃止は極端な対応。市民生活を支える公共交通のあり方として容認できるものではない」と批判。「千葉市の価値を揺るがす」とも
・12月28日:馬淵昌也町長一宮町(上総一ノ宮駅が所在)が「全く容認できない」としてJR千葉支社に抗議文を送る意志を表明
千葉市役所で神谷市長とJR東日本千葉支社の土澤壇支社長(JR東本体の執行役員)が面会、再考を申し入れ
・1月4日:熊谷知事から千葉支社の土沢支社長に口頭で申し入れた後、書面を提出
千葉商工会議所の佐久間英利会頭(千葉銀行会長)が「市、県の経済圏において見過ごすことのできない重大な問題」として再考を求める
・1月14日:千葉市議会、京葉線ダイヤ改正反対決議案提出の予定が明らかに
・1月15日:JR東日本千葉支社が平日朝に限り上り快速電車の運行を継続することを決定
・1月16日:ダイヤ改正の一部変更を発表
各自治体の首長のコメントを見ると、今回のダイヤ改正は沿線自治体を揺るがす大問題だったようだ。千葉県内の官民が改正を求めた主な理由は3つある。
●通勤時間延長による利便性の低下
前述のように京葉線の通勤快速は、ほとんどの駅を通過して東京駅に向かう列車だ。それが各駅停車となり所要時間が延びれば、利便性が低下することは明らかだった。
●千葉県の不動産価格暴落など地域経済への影響
千葉県内には東京都内への通勤を前提として開発されたベッドタウンが数多くある。そうしたベッドタウンは通勤快速・快速の運行を前提に通勤圏となっている。所要時間が延びれば、将来の不動産価格の下落が懸念される。ひいては都市開発や店舗の出店計画などにも影響を及ぼすことも懸念された。
●公共交通機関だが独断的な判断
通例、鉄道会社がダイヤ改正にあたって沿線から意見聴取することはほぼない。しかし、生活の利便性を高めるはずの公共交通機関が、利便性を低下させているかのようなダイヤ改正をおこなっていると見られたことで「独断で決めている」と批判されることになってしまった。