世間が賃上げで沸いても、「物流企業」「物流担当者」の苦悩は全然尽きないワケ
物流費の構成要素は、トラック運賃だけではない。荷物の「保管」「仕分け」「検品」といった、物流センターの運営費も、物流費に占める割合が高い。今後どうなるのか。
物価上昇の背後にあるもの

物価の上昇が続いている。年初の各新聞には、さまざまな業界トップのインタビューが載っている。そこでよく語られるのは、「2023年は値上げが消費者に浸透した」というものだ。
実際、2023年は多くの商品やサービスの価格が上がった。政府が発表した生鮮食品およびエネルギーを除く消費者物価指数は、2020年を100としたときに
「4~6%」
の上昇が見られた。一消費者である筆者(田村隆一郎、経営コンサルタント)の感覚では、もっと上昇していたのではないかと思うが、いずれにせよ、2023年は本格的な値上がりの年であったことは間違いない。
この上昇が2024年も続くのか。いくつかの企業トップからは「2024年も引き続き価格を上げざるを得ない」とのコメントが見られた。
物価が上がる要因のひとつとして、
「物流費の上昇」
が挙げられる。
いわゆる「2024年問題」を契機として、トラック運賃の引き上げが進行している。トラック運賃の値上げはすでに浸透したのだろうか。筆者周辺の物流事業者は、運送会社による荷主や元請け業者への値上げ交渉が終わったという見方をしているわけではない。むしろ、
「これからが本番」
という企業も少なくない。多くの企業は3月が決算期で4月から新年度がスタートする。
「予算の都合上、3月までは値上げを受け入れるわけにはいかない、4月以降で交渉したい」
と伝えている荷主もいる。これらを考慮すると、今後も運賃値上げが続く可能性が高い。4月から佐川急便が7%、ヤマト運輸が2%の値上げを発表したが、宅配便だけでなく、企業間物流のトラック運賃も4月から相次いで値上げされるだろう。